日本で栽培されている一・二年草は,世界中の植物をもとに導入されたものです。
園芸植物化されても,原産地の気候条件に適した生育条件で育てるのが上手に育てるコツです。
因みに「はなだより」で植物の解説文には極力原産地を載せるようにしています。
その理由はここにあります。
世界の気候は七つの型に分けられます
地理で習った分布図を思い出してください。
◇地中海気候型
地中海沿岸
年間降水量は400〜800mmと比較的少量
夏の雨が少なく,冬は温暖
この地域に生育する一年草は,降水量が多くなる秋に発芽して,冬から春に生育し,多くは乾期がくる前に開花・結実
日本で育てる場合は,秋にタネをまき,冬は軽く霜よけをして春に開花
キンギョソウ・キンセンカ・ストック・ヤグルマギクなど
◇大陸西岸気候型
ヨーロッパ大陸西岸の高緯度地方
年間降水量は500〜1000mmと比較的少なく,季節による差はあまりない
夏は20度,冬は4〜8度と温暖,内陸部はかなり低温の地域も
この地域の植物は夏に冷涼で乾燥した気候を好む
日本では秋にタネをまき,春に開花
パンジー・ワスレナグサなど
◇大陸東岸気候型
この地域は日本も含まれる
夏と冬の温度差が大きく,冬は雨が少ないが夏は降水量が多く湿度が高い
この地域の植物は日本でも育てやすいものが多い
アスター(エゾギク)など
◇熱帯高地気候型
熱帯・亜熱帯の高原地帯
気温は年間を通じて15〜20度ぐらいで温度の差は小さいが昼と夜の温度差は大きい
年間を通じて降水量が多いところと,乾季が存在するところがある
夏は冷涼で冬は温暖,日本の気候とは異なる
この地域の植物を栽培するには,夏は半日陰で涼しくさせ,冬は軽く保温する
ナスタチューム・プリムラ類など
◇熱帯気候型
赤道周辺の熱帯地域
年間を通じて気温が高く,降水量も多く,熱帯雨林を形成する
しかし赤道から離れた南北10〜20度ぐらいの地域では乾季と雨季が存在し,森林や草原を形成する
この地域の植物は寒さに弱いため,秋から春の低温期は室内で保温
アサガオ・ケイトウ・コリウスなど
◇砂漠気候型
大陸の内部地域には,極端に乾燥した気候の砂漠が分布している
植物の生育には不適
乾燥に耐えられるように葉や茎が多肉化し水分を蓄えることができるようになった多肉植物やサボテン科植物が分布
◇高山気候型
高山の頂上近くや寒帯,亜寒帯は植物の生育には不適
高山植物などが生育
*参考文献*
タネまきから楽しい一年草・二年草
NHK出版